夜の歌

時々このまま消えてしまいたいって思うのは僕らは何故だか儚いものに憧れるから

身軽に生きたいと、思ってはいるのだけれども。

 

 

引っ越したい、と何度も思った。

実際に引っ越すことはなかったけど。

手続きの多さを考えるとなかなか足が踏み出せずにいた。

職場まで歩いて5分なのも多分要因だろう。

大体の物件は職場から遠くなる。

同じ家賃でも月極駐車場代がプラスになってしまう、と考えるとなかなか踏み出せない。

そのくせ、よい物件がないか夜な夜な検索しては妄想を膨らませていた。

三月は転勤族が一斉にいなくなり、一斉に入居する月らしい。それを知らずに、よい物件があって、実際に家を見てから決めようとかどうしようかなぁとか悩んでいるうちに次々決められ、結局引っ越せず。きっとこうやってこのままずっとこの家に住み続けるのかなぁ、と思った四月。